Society & Ecology
E01 化粧に関する卒業研究を社会へ発信
大学院生の、化粧や美容に関する研究発表の場を提供します!Beaufa関連メディアでの掲載を、はじめ、評価の高い研究には、Beaufa オフィシャルプロジェクトとして認定し、研究を進化させる機会を提供します。
文系・理系を問わず、化粧・美容のあらゆる角度からの募集しております。
研究課題を社会と共有する事で、よりリアルで価値のあるアウトプットを実現して行きます。
事例紹介
研究タイトル:顔のほくろの位置と印象の関係
井桁弘恵(早稲田大学2019年卒)/サポート:菅原徹(博士(工学))、宮崎正己(医学博士)
本研究の目的は、ほくろの位置が対人印象にどのような影響を与えるのかを明らかにすることである。顔のほくろのイメージスケールが提案できれば、現在ほくろをコンプレックスに感じている人に対しては、その結果から自身のほくろに肯定的な印象を与えることができたり、逆にほくろの除去に踏み切るきっかけを与えることもできると考える。10代~60代の男女308名を対象に顔画像試料のSD法による印象評価を実施し、主成分分析を行った。主成分得点の散布図をイメージスケールにしてまとめた。魅力度が高いとされるほくろの位置は目元、頬、下唇付近、顎であった。一方で魅力度が低いとされるほくろの位置は上唇付近、鼻付近であることがわかった。
図1.芸能人にも多いほくろの位置
図2.ほくろの位置のイメージスケール
研究タイトル:感情の保持が顔立ちに与える影響
織原菜南子(早稲田大学2018年卒)/サポート:菅原徹(博士(工学))、宮崎正己(医学博士)
本研究の目的は女性の感情保持とそれに伴う表情のクセがニュートラルな顔立ち(真顔)と笑顔に与える影響について明らかにすることである。表情分析ツール・フェイスリーダー6.0(ノルダス社製)を用いて、40代~60代の成人女性18名を対象に感情想起実験を行った。リラックス、快・不快の感情を想起後の平均顔画像を分析を試みた結果、不快感情後の真顔にはAngryという成分が10%検出された。不快感情後の笑顔はHappy成分が53%であり、リラックス後の笑顔の89%、快感情後の笑顔の89%より低い値を示した。不快な感情を保持し、表情として出る(眉間にシワを寄せる)場合、皺眉筋や鼻根筋、上唇鼻翼挙筋、上唇挙筋の筋緊張が持続することが予想される。この後、意識的に真顔に戻った場合、筋緊張が残ることにより、顔印象が低下する可能性がある。
図1.フェイスリーダーを用いた表情分析
図2.真顔に残る感情の足跡/不快後に怒りが表出
研究タイトル:顔の筋力トレーニングの効果検証
竹山真生(早稲田大学2016年卒)/サポート:菅原徹(博士(工学))、宮崎正己(医学博士)
本研究は、表情筋に負荷を与えることができるフェイシャルフィトネス器具と小型の表面電極を用い、顔の筋力トレーニングの効果を検証した。はじめに予備実験として、フェイシャルフィットネス器具PAO(MTG社製:以下PAO)を自由に利用してもらい効果的な利用法の検討を行った。20~30代の成人男女10名(男性3名、女性7名)を被験者とした。表情筋運動は、口輪筋のMVC(MVC:最大随意収縮)、大頬骨筋のMVC、笑筋のMVC、「アエイウエオアオ」の連続した発声、ペンテクニックによるつくり笑顔、PAO(真顔)、PAO(笑顔)の7種類の試技を課し、筋電図計測を行った。口輪筋では、PAO(真顔)は口輪筋MVCの1.4倍、PAO(笑顔)は1.6倍の筋活動で1%水準の有意差があった。実験の結果は、フェイシャルフィットネス器具を用いて皺の表出を抑えた効果的な表情筋のアイソメトリック運動が可能であることを示唆している。
図1.器具を使った表情筋運動と被験筋
図2.口輪筋活動(IEMG:積分筋電位)の比較
研究タイトル:朝と昼の開眼度の比較
木原ひかり(早稲田大学2020年卒)/サポート:菅原徹(博士(工学))、宮崎正己(医学博士)
本研究の目的は、朝と夜での開眼度の違いを明らかにすることである。朝と夜の開眼度の違いが明らかになれば、女性が自分の目に対してポジティブな印象を持ち、コンプレックス解消・自己肯定感向上にも繋がると考えられる。女子大学生22名を対象に、起床してから覚醒時の写真と8時間以上経過時の写真を撮影した。被験者の利き目をトリミングし、PowerPointで眼裂の輪郭をなぞった。なぞった眼裂の縦の最大値をx、横の最大値をyとし、xとyを2辺とする長方形と捉え、x/yで朝と夜の開眼度を算出し比較した。t検定の結果、朝の開眼度率の平均は0.40だったのに対し、夜は0.42で有意な差が見られた。被験者の63%以上が朝よりも夜の方が開眼度が大きくなっていた。
図1.被験者Aの朝と昼の開眼度
図2.開眼度の平均値の比較
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